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5.我が家のデスクトップオーディオ紹介

b. チャンネルデバイダー(ネットワーク?)

 3Dウーハーは作ったけれど左右チャンネルを統合してやらねばなりません。
 FOSTEXで出している3D用ローパスフィルターネットワークLC3Dの標準価格は6200円であり3Dウーハーに見合う出資とはとても言いがたいことやクロスオーバー周波数が100Hzと少し低めであることから家に転がっている部品と秋月電子で購入可能なものでチャンネルデバイダーと3Dウーハー専用アンプを作成することとしました。


・新型12dB/oct カットオフ周波数133Hz ローカット21Hz2000/07/22

 当初、とりあえず3Dウーハーが利用できるように下に示している3Dウーハー専用アンプとパッシブ型の6db/octのチャンネルデバイダーを作成しましたが、3Dウーハーの性格上高域と低域の分離が明確な方がよりよいことから12dB/oct型を作成しました。この新型の方を先に説明いたします。
 写真を見てまず一番最初に目に付くのは籠製の筐体ではないかと思います。これは、100円ショップのダイソーで購入したものです。大きい籠と一回り小さい籠があり小さい方を蓋にして使いました。この籠は鉄製でビニールのコーティングがしてあり、十分電磁シールドとして働きそうです。
 鉄の籠製なので加工が容易でニッパーで簡単に思い通りの穴を開けることが出来ます。
 見た目は余りよいものとは思えませんがカマボコ板よりは余程良いように思えます。価格も安くそれなりではありますが、ちょっとした電子工作にはうってつけではないかと思います。



 さて、それでは本題のチャンネルデバイダーですが最初に示したとおり急峻な特性のフィルターにより作成することを目的としており特にOPアンプを使ったアクティブ型でなくともコンデンサーと抵抗のみで構成されるパッシブ型でもよかったのですが、雑誌“トランジスタ技術SPECIAL No.44”では12dB/octに対応する2次型フィルターとしてはアクティブ型しか示されておらず仕方なく作ったと言う面があります。
 詳しいフィルターの計算方法はこの雑誌を見ていただくこととして、チャンネルデバイダーの周波数特性としては次の様に考えました。
 まず、3Dウーハーとツイーターを分離するカットオフ周波数はスピーカーの各々の周波数特性(3Dウーハー:45Hz〜150Hz、ツイーター:通常の7cmスピーカーより140Hz程度と推定)により140Hz程度と成るよう計算しコンデンサーと抵抗の都合から133Hzとすることとしました。
 次に3Dウーハーについてはデュアルレゾナンス方式で低域側はあまり伸びず、特性以下の低域はひずみの原因と成ると考えられたのでローカットフィルター(ハイパスフィルター)により21Hz以下をCUTすることとしました

 主用部品は秋月電子で購入できるものとし、OPアンプは低価格で且つオーディオ用として十分認知されているJRC製のNJM4580D(300円/6個)を使用し、フィルター部分に関わるコンデンサーは低周波域でのカバー範囲の広いタンタル電解コンデンサー(200円/束)を使用しています。このコンデンサーは+−極を持っているので無極性接続としています。タンタルコンデンサーはあまりアンプ作成記事等に登場しないので音質的には良くないほうかもしれません。抵抗は特にこだわり無く安価で集まりやすいものを使っています。フィルター部は今後のカットオフ周波数の変更も可能な様に丸ピンICソケットを使って接続しています。
 フィルター部位外にも出入り口で直流分をCUTするため33μFのタンタルコンデンサーをそのままの形で使用しています。
 安価にと言う言葉が連続して出ていますがこの中で最も高いのは密閉型のディテントボリュームです。写真では籠と同じ緑色をして、くしくも保護色となっているため判別しにくいところですが無印品にもかかわらず1500円もしています。
 電源は6-0-6Vのトランスに適当な電解コンデンサーとブリッジダイオードを付けただけで安定化は図っていませんがリプル等のノイズの発生はほとんどありません。
片チャンネル回路図はこのとおりとなりました。
 これも、ご多分に漏れず機器不足と測定方法の無知から各種特性は計算値でしか把握しておりません。手間さえいとわなければチェック用CDとテスターで測定できるものなのでしょうか?
 チェックCDでスイープ信号を聞いてみたところ40Hz程度から聞こえ始めカットオフ周波数付近での3Dウーハーからツイーターへのつながりも自然ですが、なぜか180Hzの辺りで音が小さくなります。
 最後に音質ですが3Dアンプに秋月電子のキットを使っているのでそれも含めた音質と言うことになりますが十分良い音で鳴っているものと思います。少なくとも旧型の6db/octバッシブフィルターよりも低域と高域の分離が良くツイーターの低域部の曇った音や3Dウーハーの方向から音が鳴っているような感じはせず機能が十分発揮されています。



新型12dB/oct ローカット30Hz 改2002/02/13

 今回,3Dウーハーについて密閉型スピーカーにかえ,このスピーカーの特性上,低域になるに従い音量が出ずだらさがりになるためこれを電気的に補正することを考えました.幸い既に作成していたチャンネルデバイダーの部品をチョット変更するだけで特性を変えることができます.
 このローカットフィルターではオペアンプの利得(倍率)を大きくしてやることで下図のローカットフィルターの部分のようにカットオフ周波数より少し高いところで音量が大きくなるように山を作ることが出来ます.低域はあまり下げすぎても歪が多くなりそうなので下げすぎもどうかとは思ってローカット周波数を30Hzにし,利得は適当に1倍から2.4倍に変更しました.Qは山なりの度合いを示すものですが利得の変更に伴いQ=0.7からQ=1.7変わったものと算定されます.この変更での片チャンネル回路図を参考のためリンクしておきます.
 さて,低域の音量を補正しているのでスピーカの振幅量が心配なところでが,密閉スピーカーでは箱の中の空気がばねになり振幅が抑制されるためバスレフ型に比べ大きな入力に対応できるとされています.本スピーカーでも私が聞いている音量ではほとんど目に見えない振幅の程度です.それでも結構な音量が出ている様に感じます.もともと15W程度のパワーしか出ないアンプのせいかもしれませんが.
 今回の変更による聴感ですが,随分向上した様に感じました.今までよりも音が素直に出ている様です.音楽を聴きながらこれも書いているのですが音楽に気を取られて筆が鈍ってしまいます.低域も音楽を聞いていると今までよりも低く伸びている感じがします.
 スイープ信号を聞いてみたところでは40Hzの当たりから音が聞こえ始めますから低域の伸びは考えていたほどでは無いようです.70Hz〜80Hzの当たりでは少し音が小さくなるようです.また,以前見られた180Hzでの落ち込みは小さくなっているようです.少し低域UPが過ぎたようですが,私の場合には低音が十分出ていると量感があり音量を絞っても満足感があります.(このへんはどんなもんなのでしょうか)




・旧型6dB/oct カットオフ周波数140Hz
 ネットワークはアンプの前にCRフィルターで挿入しています。

 コンデンサーには秋月電子で購入したタンタルコンデンサーを無極性接続としています。

ネットワーク裏


ネットワーク表



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