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3.我が家のアンプ

 私がキットのアンプを作ろうと思ったきっかけはFET(電解効果トランジスター)アンプ本を買ったことでした。
 その本ではFETアンプは電源等の面からコスト高なのでメーカが作りたがらないがアマチュアが作るには部品点数が少なく作りやすいく音質も良いアンプであると記載されておりました。そうは言っても、本に書いてある部品を揃えるには相当な手間がかかることは明らかでしたし入手方法すら解らない状況でした。
 そうこうしている内に本屋さんでオーディオ雑誌として無線と実験やラジオ技術を見つけるに到り、通販での部品の入手が可能であることが解ってきました。そこである電子部品通販店に以前買った本についてのアンプ部品の見積もりを依頼したのですが6万円以上と結構な高額になることに唖然としてしまいました。
 しかしながら、雑誌を回を重ねて読んでいく内にアンプにもキット販売があることが解り、部品を集める苦労(楽しみでもあるかも)を考えるとキットを購入した方が良いであろうと考えたわけです。
 まず、最初に作ったのは真空管アンプのキットでした。以前より真空管アンプは音がよいと聞いていましたので是非真空管アンプの音が聞いてみたいと思ったのでした。
 今となっては、真空管アンプはトランジスターアンプに比べると音の信号伝達にコンデンサーやトランスが必要であるためHifiとして難しいと言うことが解っては来ましたが当時は高額でヒーターの明かりがほんのり輝いている立派な真空管アンプを見るとずいぶん良い音がするに違いないと思っておりました。
 さて、あまり裕福ではない私としましては、真空管の種類の中で300BとかKT88とか2A3とか言った有名で音がよいと言われるものを使用しているアンプには手が出ませんでしたし、それでも、いくら家庭でならすにも10W程度は必要ではないかと思い購入したキットは三栄無線のModel SA-540 6BQ5ppでした。このアンプは値段もそこそこでパワーも14W+14Wですので若干パワー不足のような感じもしますが特に大きい音で鳴らさない限りは十分な音量が得られます。作成してみると音質方は心地よく柔らかい音がして明らかにトランジスターアンプと異なるものでした。この感想は今でも変わることがないものでありそう言う意味では忠実な再生のみがオーディオではないと感じさせられる部分です。(いくらがんぱったところで忠実再生は難しいのですから)また、音量ですが、私は90db/Wm程度のスピーカーでならす限りアンプについているメータが赤の表示に振り切る手前の音で鳴らすと相当な音量になるので普通に聞く分には問題にならないと感じました。
 真空管の次に、念願のFETアンプを作成してみることとし、同じく三栄無線 Model SA-MOSとしました。このアンプはA級作動で10W+10Wですからまずまずの出力が得られます。
 このアンプを作成してみて今までのトランジスターアンプに比べて十分いい音で鳴っていることは感じましたが、真空管アンプで得られた感動ほどではありませんでした。結局、現代のトランジスターアンプはある程度完成された域に達しているためそんなに大きな異差が無いのでないか、真空管アンプは逆に音を心地よい再生に変化するよう特化してしまっていると感じるところです。
 その後、金田昭彦氏が無線と実験の中で低域再生でMFB(スピーカの振動を検出しフィードバックする事により制御する技術)からヒントを得た可変インピーダンスアンプを提唱されていたためこれをModel SA-MOSに取り込んで見たのですが結局の所ほとんどインピーダンスを変化させても私にはあまり変化を感じ取るには到りませんでした。
 そう言うことで真空管アンプの方が聞き心地が良いと感じながらも、どこか悪いのかヒューズが切れるなどのトラブルがよく起きるためメインシステムでの使用はMOSアンプになっています。
 最後に、注意事項として私はキットでアンプを作成してきたのですが、真空管アンプのSA-540ではブーンと言うハム雑音が取れず結局真空管のヒーター電源部分を撚り線から同軸ケーブルに変更して対策しましたし、FETアンプのSA-MOSでもハム雑音が取れず、接地(グランド)の配線を一点から各基盤に一つづつ放射状の配線にしたり、通常電力を落とすためAB級アンプに変更するなどして対策をとらねばなりませんでした。こう言ったことからキットであっても自作に際しては相当に気長に対処していく精神と向上心が必要に思いました。(対策のための本などを購入代金や手間を考えると決して安い買い物ではありません。)    
 
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