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7.集成材や紙などセルロース素材について
2000/12/28作成
前項の”5.製造エネルギー”で木材の均一化が重要ではないかと言うことを述べました。木材等自然素材も加工の度合いによって様々な種類のものが存在しています。
加工度合いの小さいものが製材で最も大きいものが紙になるのではないかと思います。
大まかに言って、
製材
木を切って形を整えたもの
集成材
木を一定の大きさのブロックにして張り合わせたもの
パーティクルボード
木くずのような微小片をのりでくっつけたもの
ファイバーボード
木を溶かして流動化させた後に若干ののりを加え圧力をかけて固めたもの
紙
木から繊維成分を分離してのりで固めたもの
と言った順でしょうか。
紙は木材等から繊維成分であるセルロースを分離しのりでくっつけたたものであるので当然均質で、のりの材質やのりとセルロース以外に加える材料によって性質をある程度好みの状態にかえてやることが出来るそうです。例えば、水に強くしたり、火に強くしたりすることが出来るそうです。
ドイツで行われたハノーバー万博の日本館では
坂 茂 氏
の設計による紙の管による構造物が作られたことは記憶に新しいところです。
10年ほど前ドイツ統一の際に東ドイツの車でトラバントというのがありましたがこれも天井が紙で作られているとか言って友達と笑っていたものですが環境問題が叫ばれる現在から見ると逆に先進的であったといえるのかもしれません。
さて、紙でも構造物が作れるとは言え個人的には建造物として認知できるのは集成材までかと感じるところです。最近では構造材が表面に露出しないので表面処理さえ十分行ってやれば十分なのかもしれませんが。
集成材も今日ではさして珍しい素材ではありませんが木は湿気により伸び縮みするので張り合わせた木地ごとの伸び縮み差があった場合は長期の使用の際には接着している部分がはがれる可能性もありこれらを克服するためには高度な技術を要したものと思われます。
集成材の外材について
2000/12/26日経新聞に『輸入材台頭 木材業界に焦り』と言う見出しに「乾燥材生産コストが壁 セーフガード発動求める」と言う副見出しがついた記事がありました。記事の概要は、「近年の輸入木材は増加してきているが、その中でもゆがみの原因となる水分を抑えた集成材や乾燥材が住宅メーカーで国産材に変わって人気を集めている。また、集成材による管柱は杉などに比べ強度等の性能がそろいメーカの理解が得られやすい。国内の加工業者は乾燥コストを価格に添加できない。」と言うものです。私が、品物ごとのばらつきの無い集成材が有用であることを”5.製造エネルギー”の項で述べるまでも無く住宅分野では進んでいると言えましょう。
残念なことではありますが皆が総檜作りの家にすめるほど木材が豊富なわけでもないでしょうし、これらの建築を担う職人さんも限られていることでしょうから仕方の無いところでしょう。
むしろ、それより増して危機的状況と思えるのは外国産の集成材等の価格が安いと言うとでしょう。これが、外国の平地で生産される材との価格差によるものが主であれば問題はそれほど大きくは無いように感じますが、乾燥費用の価格差であるとすると設備投資の不備でしょうから、輸入制限を行うときに日本の地形的な特殊性を外国に説明することが難かしく深刻さの度合いは強い様に感じます。
省資源の観点から見ても国産材が生き残る何か良い手法が見つかることを懇願して止みません。
集成材等の新素材と伝統について
2001/02/03作成
木質系資材が金属資材と拮抗するためには今までも述べた様に集成材等の新素材の導入が欠かせないように思えるのです。
ここで問題となるのがいわゆる「伝統」なのです。これは伝統自体が悪いと言うのではなくそれらを扱う人の自負心とそれらに近い新技術のと摩擦であると思うのです。 具体的に言うと、木質系資材は古くから日常的に扱われてきたことにより我々の知識と技術の蓄積は相当に大きなもので、それを扱う大工さんや紙漉き職人さん等はある種あがめられる存在であると同時に本人たちも相当な自負心(プライド)を持つ職業とであることはコンクリート構造物の繁栄してる現在においてもなお続くほどの強固なものであることからもわかることかと思います。(私も畏敬の念を持っておりますが。)
これらの過去の膨大な蓄積の基盤に立つ人たちに対して集成材等の規格化はノッペリとおしなべたものにしてしまうことで匠と凡人の差がわかりにくくなると思うのです。
最近、拝金主義がはびこり誇りをもって仕事に携わる部分が少なくなっているような気がします。多くの事件、事故が仕事に対する誇りひいては仕事に対する責任の欠如により起こっているように思えてなりません。この集成材等の規格化は残念ながら過去の工業化と同様に匠の誇りを奪う方向にあると感じます。
とはいいながらも金属材料と比較して労働生産性の面からある程度の追従も仕方のないところではないかと思うのです。結局、これらの匠にどう新しい素材の中でも誇りをもって仕事をしてもらえるかと言うところなのでしょうが。
私なりの考えとしては、島根県の出雲ドームや秋田県の樹海ドームなどの集成材による巨大構造物やハノーバー万博の紙管建築が製材による建築(奈良の大仏殿)をその巨大さで超えていることは確かであり、大工さんを始め木質系資材に携わる方がこれらの木質系資材を扱い、大きな物を作るときに今までの経験から重要な部分を担っていることを示すことが良いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
我が家の木質資材
2002/04/17作成
さして、裕福ではない我が家のことですからパーチィクルボードに化粧印刷された本棚や食器棚等は当然のようにありますのでとりあえず割愛いたします。
他に、スピーカーの箱もパーティクルボードでできていますね。
まず、最初に工芸品である箱根の寄木です。
当然、集成材とまでは言いがたいのですが工芸品の中でもこのような物が存在していることを再認識してもらうために載せました。
次ぎに、ベトナム製の集成材の折りたたみ机です。ホームセンターで2000円ほどで売っていました。
ホームセンターに売っている材料で作ると材料代だけでこの値段では済みません。安すぎるような気がしますが、高度な英知を結集したビデオデッキですら1万円で買える時代ですからこれで無いと売れないかもしれません。
合板ではないので裏側に板の正目方向と直角な形で補強材が入ってます。
しかし、こんなところでこんな物を載せると我が家の内実が明白になってしまいますね。
こちらは天板が中密度ファイバーボード (MDF)足が木でできた折りたたみ机です。上に示したのと同じぐらいの大きさの机ですが板厚が薄く補強材も入っていないので軽くできており折りたたんで移動するには便利です。
価格は5000円ほどだったと思います。
値段は集成材のよりこっちの方が高いのですが重量感の無さゆえか安っぽく見えます。
集成材等リンク集
2002/04/17作成
集成材と言うと貼り合わせで弱いんじゃないのと思うのが普通でしょう。しかし、このリンクを見れば分かるとおり屋外の構造物で車が通れる橋にまでその用途が広がっている事実を目の当たりにすることができます。
当然、リンクの解説の通り木金混合であったり水の溜まるところが出来ないような配慮が必要であったりと言うことはありますが、その耐久性については我々の想像のレベルを越えるものでありましょう。
まだまだ、事例も多くは無いようですので重複した内容が含まれています。
日本木橋協会
全国の主な近代木橋
農林漁業現地情報 地元産の杉を使った世界初のSW橋完成
(財)日本合板検査会 加工木材製品の紹介
山佐木材woodist 製品情報 構造用集成材
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