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5.製造エネルギー 2000/04/22作成2000/05/20加筆

 物を作るにはエネルギーが必要なことは既にみなさんもご存じの通りです。アルミニウムは電気の缶詰と言われるほど電気エネルギーを消費します。鉄も相当量の石炭(コークス)エネルギーによって酸化鉄を還元することで得られており、これはタタラ製鉄では石炭が木炭に変わるわけで自然破壊の度合いとしては更に恐るべきものがあり、アニメ“もののけ姫”のテーマの一つになっていたことを他項で語ったところです。
 さて、それでは材料としてどの様なものが省エネルギーとして重要な位置を占めるのでしょうか。
 私は、密度は小さいけれど膨大な太陽光エネルギーを効率よく固定できる木材が最も省エネルギーに貢献する素材ではないかと感じるところです。
 まず、下表「木づくりの常識非常識」上村 武 著P167で示されていた下表(又引きですみません)ではコンクリートの次に重量当たりのエネルギーの必要量が少ないことがあげられています。

    住宅用資材の製造に必要なエネルギー
    資材エネルギー単位
    103kcal/kg103kcal/m3
    製材(構造材) 0.7 361
    合板 1.1 553
    コンクリート 0.3 560
    石こうボード 2.0
    鋼材 7.4
    プラッスチック製品 22.0
    アルミニウム製品 73.0
    資料:科学技術庁「ライフサイクルエネルギーに関する調査研究」(1979年)より


 それとは別に「材料工学入門」P79 M.F.Ashby D.R.H.Jones著 堀内 良、金子 純一、大塚 正久 訳(1999.3増補訂正)に下表の様な“はり”についての検討がされていますが木材が最も安価な材料としてまた、重量当たりの剛性でも炭素繊維強化ポリマーに次ぐものとされており非常に有用な素材であることが示されています。

    はり
    はりの質量は t に依存する。


    一定の剛性を持つはりに関するデータ.
    材料はりの最小質量指標トン当たり価格価格指標
    0.55450247
    発泡ポリウレタン0.412250922
    コンクリート0.3624086
    アルミニウム0.321650528
    ガラス繊維強化ポリマー0.313000930
    木材0.1730051
    炭素繊維強化ポリマー0.09750006750
    資料:「材料工学入門」P79 M.F.Ashby D.R.H.Jones著 堀内 良 金子 純一 大塚 正久 訳(1999.3増補訂正)より


 この本では他項でも木製骨格の自動車の例(P293)が示されたり、管状にした場合の検討(P334)の中でも軟鋼と木が安価であることが示されているなど、著者の一人であるM.F.Ashbyさんは金属工学分野の方であることを考えても木材の有用性を大いに示しているもの思われます。
 しかし、自動車の例では優良材の確保が困難なこと、鋼が管やI型鋼など圧延により加工性で木材より勝ることをあげており、木材の工業利用では集成材等の加工により質を安定することや規格化を進めることが非常に重要ではなかと感じるところです。


a.木材と製造エネルギーリンク集
    (財)日本木材情報総合センター 
     木の何でも相談コーナの内容が「木づくりの常識非常識」上村 武 著に近いものとなっています。

    農林水産消費技術センター 木とくらし 

    特許庁ホームページ 技術分野別特許マップ 木材加工技術 

    世界のドームと歴史(竹中工務店)

     集成材で作成されたドームがあります。

    特集 環境と建築 エコマテリアル 高橋 元 閉鎖


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