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12.本の紹介2001/01/06最終


  1. 「森を守れ」が森を殺す2001/01/06紹介
  2. 「森を守れ」が森を殺す 副題:森林は酸素を増やしてはいない! 自然保護運動の常識を撃つ
    田中 淳夫 著 新潮OH!文庫

     この本は現在起きている森林危機や森林の常識等について著者なりの素朴な疑問点を今一度、著者の森林体験、数字の裏づけや専門家の意見等の地道な取材活動を元にある程度体系建て記述された本で我々の森林に対する視野を大きくしてくれるもと思いました。
     また、本の中で、現在のイメージに頼る自然保護運動の危うさと、それに対比して収奪的な森林開発の硬直性を比較的公平に評価している様に感じられました。
     私もホームページの中で自分の持った素朴な疑問に対する回答を模索しているわけですが、このようにプロのライターの方が持っている体験や取材活動などの機動性、また、体系だった主張に対して私のホームページは足元にも及ばないことは残念なところで一つの目標としたいものです。


  3. 木造建築を見なおす2001/08/04紹介
  4. 木造建築を見なおす
    坂本 功 著 岩波新書 2000/05/19初版

     エネルギーと材料の観点から私は考えて木質素材の利用が推進されることを書いたわけですが、そのためには大規模建築物が木質素材で作られることが多くの人の意識を変える上でも鍵となります。
     この本ではまず第1章に「復活する大規模木造建築」として取り上げられており私が考える以前より木造建築の復権として大規模構造物が大きな役割を果たしていることを示しているものと感じました。結局、私も著者を含めた木造建築等に関わる人達の考え方に大きく影響されてあのような考え方に到ったのかもしれません。
     その他には奈良の大仏殿は鉄骨で補強されているとか法隆寺も建立当時そのままではなく補強が施されているなど私が今まで持っていた伝統建築物に持っていたイメージを払拭するようなことも述べられています。
     更に例の割り箸論争にも著者はA4用紙1枚で割り箸4膳分でありこの様な観点も含めてもっと大きく捕らえた資源に対する論議として発展してくれればよかったのにとの思いも述べられています。
     また、私が著書の中で最も重要なこととして木造住宅に対する思いは我々が昔からなじんできたこともあり様々な考え方をする人がいるということです。
     鉄筋コンクリートや鉄骨ではその構造や材質に口を挟む人は殆どいないのに、木造になると集成材が良いとか無垢でなければとか色々な意見が出てくるそうです。
     私も集成材程度ならとは言ったもののこれも私の思いを含めてのことであり木には物質として割り切れないことが再認識させられると同時に他の分野に対抗するような一致団結した力になりにくくその意味でも木質資材の利用促進は緩慢とならざるをえないと思いました。


  5. リサイクル幻想2001/01/06紹介
  6.  リサイクル幻想 副題:動機は“良心的”なのに 環境をいよいよ悪化させる矛盾!
    武田 邦彦 著 文春新書

     私は以前より古紙のリサイクルでは、古紙からインク除いたりするのに薬品を使ったりするし本当に環境負荷の少ないことなのだろうかとか、ビールビンや一升瓶などのリターナルビンを薬品を使って洗浄したりすることも新品を使うことに比べ環境負荷が小さいのだろうか、回収費(回収エネルギー)等も含めると本当に良いのだろうかと漠然とした疑問がありました。
     また、天然自然素材と歌っている製品でさえ大量に作り消費されるのであればのであれば人工素材同様に問題が発生するのではないかと言う疑問もあります。
     更に、都市部で進められている詳細に行われる分別収集もああ多くては労働効率上あまりにも変なのではと思っているところでした。特におとうちゃんが労働効率優先の会社社会で身を粉にして働いているのに家でおかあちゃんが詳細分別収集による労働生産性の低い活動を社会責任として一生懸命行っているのは滑稽ですらあります。
     この本の中では、こういった疑問に対して詳細な分析はありませんが、ある程度の概括的説明を行い、循環型社会のあるべき姿について提案をしています。
     提案を行う際に問題が大きく急を要すると著者が感じているのか、言い切る形なのが気に掛かるところです。加えて、著者の主張する循環型社会は新技術の開発が不可欠であることが不安なところです。
     また、本のなかではリサイクルに関することを主体としているためか金属材料を主体としリサイクルに向かない木質素材の検討が紙だけで他はほとんどないことが残念です。
     いづれにしても、この様に環境問題を総合的にみる試みはまだ多くないように感じますので、詳細分野の補完やあるいは逆提案するなど後に続くものが多く出ることを期待します。


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